人類と火の歴史は長い。人間は,火の力を借りて居場所をつくり,火を囲みながら苦楽を共にし,生活に必要な道具を作り,共に生きるコミュニティを育んできた。しかし生活の近代化によって,火のある場所は私たちの生活から失われ,火を中心に育まれてきた生活の楽しみや,人間関係も失われてしまったのではないか。

本リサーチは,世界各地の「火のある空間(ファイアスケープ)」を対象とする。多様な「火のある空間」のなかでも,まずは「火」と「食」のつくる空間に着目し,事例の収集と分析をつうじて,その魅力について考察し,現代社会における火のある空間の再評価と再生をめざした実践的活動(創作と運営)を試みることを目的とする。